ZOCOZO DESIGN Inc. | 株式会社ゾコゾデザイン | ロゴ | ホームページ | グラフィック | Logo | Graphic | WEB | 山口県下関市

共振性 ― 情報 多極化 社会 ―| main image | ZOCOZO DESIGN Inc. | 株式会社ゾコゾデザイン | ロゴ | ホームページ | グラフィック | 山口県下関市

BLOG the POST

CATEGORYXX

CATEGORY↓ scroll

ARCHIVEX
TOPICX

Title: 共振性 ― 情報 多極化 社会 ―

category:

|

topic:

Title: 共振性 ― 情報 多極化 社会 ― | Press-12 | Image No.1 | ZOCOZO DESIGN Inc. | 株式会社ゾコゾデザイン | ロゴ | ホームページ制作 | グラフィック | 山口県下関市

私たちは日常的に「太陽が昇った」「太陽が沈んだ」と口にする。
けれど科学が語るのは、昇降する太陽ではなく、自転する地球だ。

この矛盾は誰も問題にしないし、ましてや困ることもない。
なぜなら、暦や時刻という制度が私たちに共通の感覚を与えているからである。

私はここに「 擬似自然(ぎじしぜん) 」という概念を置きたい。
擬似自然とは、真理でも体感でもない。

そのずれを、人々が「当たり前だ」と錯覚できるように仕立てられた共通感覚である。例えば、太陽暦や1日24時間という捉え方は、その典型だろう。

Title: 共振性 ― 情報 多極化 社会 ― | Press-12 | Image No.2 | ZOCOZO DESIGN Inc. | 株式会社ゾコゾデザイン | ロゴ | ホームページ制作 | グラフィック | 山口県下関市The Eclipse of the Sun in Venice | Ippolito Caffi | 1842 [ イッポリト・カッフィ:ヴェネツィアの日食(1842年)]

かつて人々は、この擬似自然を本物の自然だと信じることができた。
だが近代以降、科学や批評はその人為性を次々に暴き立てた。現代ではさらに情報源が多極化し、国家・宗教・科学・メディアが、それぞれ異なる「擬似自然」を差し出してくる。もはや私たちは、どれも自然そのものではないと知ってしまったのである。

ここに現代人の苦心がある。
本物と信じられないにも(かかわ)らず生活を営むためには、いずれかの擬似自然を便宜的に採用せざるを得ない。選択を誤れば社会から孤立し、選択を拒めば自己を失う。その負荷は重く、時に人を精神的破綻へと追い込みもする。

では、いかにして擬似自然と向き合えばよいのか。鍵となるのは三つの性質である。


[ 三性(さんしょう) ]

① 透明性( 自覚 )
擬似自然は制度が創るものであり、自然そのものではないと自覚する。
例:1日24時間が「自然に決まった時間」ではなく、人為的に区切られた制度であることを理解する。

② 相対性( 承認 )
複数の擬似自然を比較し、それぞれの限界と有効性を承認する。
例:グレゴリオ暦と太陰暦の違いを理解し、どちらも便宜上有効であると認める。

③ 操作性( 切替 )
状況に応じてどの擬似自然を採用するか切り替える力を持つ。
例:仕事では24時間制を基準とし、伝統行事では旧暦を参照する、といった柔軟な使い分け。


この三性を往還することで、矛盾に押し潰されず、擬似自然を利用しながら自己を保持できる。

ここで「共振性」の概念が関わる。
自然界の奇妙な同期現象を思い出すと理解し易い。
例えば、壁に掛けられた複数の振り子時計が、しばらくすると同じリズムで揺れはじめる。或いは、光を放つホタルが群れの中で発光のタイミングを揃えていく。

このように、人々の選択もまた次第に収束し、社会の常識として定着する。
擬似自然は制度的に共通感覚化(コモンセンス)されるだけでなく、個々の選択の連鎖によって「共振」し安定した秩序を生む。つまり、共振性は擬似自然が社会で機能するメカニズムとも言える。

哲学の系譜にも同様の指摘がある。

フッサールの「 生活世界 」* は、私たちが科学的真理以前に、日常的制度化された世界で生きていることを明示した。

ヴィトゲンシュタインの「 言語ゲーム 」* は、意味や理解が言語を通じた社会的ルールに依存していることを示した。

デリダの「 差延(さえん)* は、意味や秩序が決して固定せず、常に文脈や制度によって遅延・ずれを伴うことを指摘した。

私的に言えば、擬似自然と共振性の働きは、その系譜の現代的応用である。

Title: 共振性 ― 情報 多極化 社会 ― | Press-12 | Image No.3 | ZOCOZO DESIGN Inc. | 株式会社ゾコゾデザイン | ロゴ | ホームページ制作 | グラフィック | 山口県下関市

── 社会は真理ではなく制度化された秩序である ──

擬似自然は虚構ではない。
現代人に求められるのは、擬似自然を「本物」と信じ込むことではなく「錯覚」と自覚したうえで、それを適切に操る成熟である。

地動説と天動説を、私たちは日常的に苦もなく混同している。安心と不安を同時に抱えながら生きることは「矛盾」ではなく人間の「常態」だ。

ただし、常態を受け容れることと、世間擦れを恐れて身を委ねる日和見主義とは違う。錯覚を「錯覚」と知りながら生きる態度こそ、情報多極化社会を生きる意味での「平和」なのだろう。

「 平和 ─ これはどんな敵も知らない、誰の不幸も喜ばない人間の状態である。」
アラン *

 

author: Kouzou Saika

 


[ 参考文献 ]
フッサール, E. (1936). 『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』立松弘孝・山本信ほか訳, みすず書房, 1974年.(原題:Die Krisis der europäischen Wissenschaften und die transzendentale Phänomenologie)
ヴィトゲンシュタイン, L. (1953). 『哲学探究』藤本隆志訳, 大修館書店, 1976年.(原題:Philosophische Untersuchungen / Philosophical Investigations)
デリダ, J. (1967). 『声と現象』高橋允昭訳, 法政大学出版局, 1970年.(原題:La Voix et le phénomène)
デリダ, J. (1967). 『グラマトロジーについて』原宏之訳, 法政大学出版局, 1972年.(原題:De la grammatologie)
アラン (Émile-Auguste Chartier). (1953). 『定義集』神谷幹夫 訳, 岩波文庫, 岩波書店, 2003年.(原題:Définitions, Éditions Gallimard)
注記 )
邦訳のある著作については邦訳主体の表記とし、学術的正確性を確保するため原題を括弧内に併記した。邦訳のない資料は英語を主軸に記載し、日本語補足を添えている。

August.30.2025
p.12
URLのコピー | ZOCOZO DESIGN Inc. | 株式会社ゾコゾデザイン | ロゴ | ホームページ | グラフィック | 山口県下関市
URLコピー完了